●ファイアーウォール塗装
 
 ファイアーウォールはオレンジにされておらず、黒です。元々、エンジンルームは黒仕上げの予定でしたので、放っておいても良いような気がするのですが・・・・・足付けが不十分な箇所をイヤと言うほど目にしてしまいましたので、おとなしく剥がします。この黒は膜厚が薄く、割と頑固で剥がすのに苦労しました。

 
 入念に足付け、脱脂を行いストーンペイントにて仕上げます。拡大画像のような梨地になり、泥汚れや埃を保持してしまうのでクリーンに保つには面倒な仕上げです。が、クロームやポリッシュのパーツでディテーリングされたエンジンが引き立つ仕上げでもあります。SJ10ボディがベースですので、向かって右側にオイルタンクのステーが残っています。SJ10と20を見分ける数少ないポイントのひとつです。

●右サイドの下地仕上げ
 
 こちらも、大幅に修正する羽目になりましたが、ようやくパテ研ぎを終えました。パネル継ぎ目から噴出する錆や不自然な歪み、無数の凹みをチマチマと補修。こういった作業のときには給油口が邪魔になってきますが、下手にマスキングしても上がってきた気化ガスでマスキングテープがベロベロになる等、あまり良いことはありません。画像のように給油パイプを外してしまい、タンク側に栓をしてしまえばミストの混入や気化ガスの影響を受けません。

 
 ドア開口部のエッジなど、不意に物が当たって塗装が剥がれ易い箇所は特に気を使って足付け、脱脂を行いました。サイドシル部、スポット溶接の痕がクッキリ残っています。他の部分もスポット痕を残してみたのですが、やはり凸凹が気になるので最終の面出し時に処理するつもりです。
 ところで、タイヤのマスキングに使っているのは使わなくなった布団カバーです。これだと、ガバッとカバーでき、濡らしておくとミストも吸着します。塗装に限らず、エンジン丸ごとやシート等の大物や広い面積を養生できるだけでなく、クルマの下に潜る際に敷けますし洗濯して何度も使えます。


 だいぶ綺麗になってきましたネ〜。

●フロアーの仕上げ
 
 だいぶ綺麗になってきたところで、切り開いて錆取り&防錆した箇所のシーリングを実施します。この作業を怠ると、そう長くない未来に錆汁が流れ出す羽目になります。LJ〜SJ10、20のボディは、組み立て時のシーリング不足こそが弱点です。錆びる箇所は水が入り易く、抜け難い箇所で、特にサイドパネルの継ぎ目は表側はシールされていますが裏側は開放状態です。どの車輌もここは錆びます。
 ですので、両側からシーリングを施します。特に裏側(水の入り口)はてんこ盛りにしておきます。同じように、切り開いた荷台の枠もシールしました。パネル裏面がやたらと黒いですが、パネル裏面は旧塗膜の剥離後に全てPORで防錆してあります。



 フロア前側、パネル内面と仕上げてきましたが、いよいよフロアー仕上げの最終段階、荷台です。こちらは、前述したとおりヒッポーライナーというベッドライナーDIYキットで処理します。Pick Up Truck大国のアメリカのDIYショップなどで取り扱いのある製品で、2液ウレタンの特殊な塗料です。完全乾燥後は柔軟な塗膜を形成し、衝撃を吸収するだけでなく耐薬品性も高いとのこと。知っている人は知っていますが、管理人はRod&CustomやMiniTruckなどのAmerican Custom Cultureが大好きで、この世界は非常に良いものが結構あります。
 それなりに高価な塗料ですが、大事なときにケチるのは良くありません・・・・・・セット内容も刷毛やローラー、手袋まで入ってお得感満点(?)。



・・・・・・・・だそうです。ガイコツが怖い顔しています。


 
 まずは下地作りです。120〜180番のペーパーで研ぎます。水研ぎはしません。フロアーの状態は、ブ厚い刷毛塗りコーティングのお陰でかなり良く、穴ですら数箇所しかありませんでした。リブが多いので足付けにはかなりの時間を要しますが、手は抜きません。この位下地を作っておかないと、折角の高性能な塗料が台無しです。下地が出来たら、周囲を入念にマスキングして塗装開始です。

 
 で、いきなり仕上がっていますが・・・・準備に3時間、塗装自体は大体2時間くらいで、全部で5時間程度はかかります。ネバネバした塗料で、付着するとそう簡単には落ちません。2液を混合する容器、刷毛、ローラーは使い捨てです。荒目のナイロンスポンジのローラーなので、ご覧のように仕上がります。ローラーの選択で色々な仕上げが可能ですが、毛がついているタイプはこのような粘性の強い塗料を塗ると抜け毛して塗装面がエラい事になりますので注意。
 まだ実用していないので断言できませんが、誤って腕についてしまった塗膜を観察する限り、PORと同等かそれ以上の強烈さで、追従性も高くて期待大です。まぁ国外はもとより日本でも多くのTruckに施工されていますので当方のレポート以前に実績があるのですが。

 使用量は荷台全体とセンタートンネルに施工して半分でした。高年式車は施工も楽ですし、積載の頻度が高い方や水場系の趣味を持つ方、クルマを大事に使いたい向きには良いものだと思います。ジムニーであれば二台分はありますので、性能と合わせて高くは感じないと思います。

 これでフロアー補修と表裏の完全防錆は完了です。

●下地完成
 
 フロアーに続いて、サフ入れが残っている部分を仕上げてしまいます。黄色が濃い部分はポリパテで傷や凹みを拾っている部分です。厚付けしたポリパテは、管理人の場合180番の布ペーパーによるカラ研ぎから始めます。シッカリと付けてやれば巣穴も無く、ペーパーが400番相当くらいまで磨耗してくる頃には結構綺麗な仕上がりになります。この後に400番で研ぎ出し、1液の薄付けパテで細かい傷などを拾ってやります。
 この薄付けパテは溶剤の揮発によって硬化するのでパテ痩せが激しく、少し厚めに盛ってから、根気よく乾燥させてやらねばなりませんので、嫌いです・・・・・。

 
 薄付けパテは400番から根気よく研ぎ、表面が滑らかになればひとまず終了です。不思議なもので、利き手とは逆の手で撫でると凸凹をつかみ易いです。人間の感覚は面白いですね。ボディサイドもサイドシル補修と小傷の修正で、丁寧に足付け、脱脂をしてサフを入れます。放置期間が長かったのと、ボディ単体での移動を繰り返した事、スクレーパーでの剥離作業が重なって、小さな補修箇所が沢山あります。

 
 綺麗になりました。遠目には大変美しいのですが、黄色のときには気付かなかった傷や凸凹が明らかになりますので、そういった部分をチマチマと補修しなければなりません。ここでめんどくさがると仕上がりに差が出ますので頑張ります。

 
 インパネも、裏まで磨いて必要な穴あけなどを施して綺麗になりました。こうして見ると、本当に何もついていませんね。真っ黒で、ネジというネジが錆溶接されていた状態から、随分綺麗になりました。右画像はこのボディについていたネジですが、幌なしで屋外保管でしたので、普通に緩むネジは皆無でした。

 次項ではいよいよ塗装作業に突入です。